目的

「体育授業や身体活動・部活をアップデート」。子ども達自身が自分の身体活動を自ら進化させる新しい学びの方法を検討する。

課題

体育の授業やダンスや伝統芸能などの身体活動を進化させるためには、自分の動きや共同する他者の動きをメタ認知することがとても重要です。その課題を、ニコンの開発した可搬型ボリュメトリック(全方位から撮影し、3Dデジタルデータに再構成する技術)と、CELL(等身大で360度の角度から自分の動きをメタ認知することができる)を組み合わせることで、新しい身体活動の学びのあり方に挑戦します。

概要

ニコンのボリュメトリックスキャニングの実機や操作方法などを解説いただいた後、あらかじめ収録してあった「バスケットボール」や「伝統芸能」などのデータを、等身大で人を認識できるCELL空間に映してみて、体験会を行いました。体験会には、渋谷区教育委員会や渋谷区未来の学校担当課、教育政策課、地域学校支援課、学びとスポーツ部、渋谷区の学校関係者、渋谷区スポーツ協会、シブタン、渋谷未来デザインの皆様ら専門家にお集まりいただき、「ボリュメトリック×CELL」で実現できる新しいスポーツ教育・身体運動の学びのあり方について議論しました。

成果

1. 教育・運営の視点(教育委員会・学校関係者)
受動的な鑑賞から、能動的な表現へ:当初は「映像を見る」という受動的なものと考えていたが、実際には「作って表現できる」という能動的な側面があることに気づき、教員・生徒双方にとって汎用性が高いとの評価。
「環境化」の重要性:外部からの持ち込みイベントではなく、学校に常設された「環境」にすることで、子どもの自主的なアイデアや活動が自然に生まれる。
日常的な運用に向けた期待と工夫:複数人でVR空間を共有できる点を評価しつつ、現場の教員が簡単にコンテンツを更新できるか、日常的に飽きさせない工夫ができるかという運用面についての問題提起。
一過性で終わらせない真の教育効果:一過性の楽しさで終わらせず、将来子どもたちが自分を輝かせられるような真の教育効果につなげるための議論が必要。

2. スポーツ・技術活用の視点
3D客観視がもたらす「感覚の獲得」と主体的な学び:3Dで自分自身の動きを客観視できる点は、スポーツ教育における「感覚の獲得」を加速させ、主体的な学びを深めるために非常に有効である。
指導者不足の解消と、多世代へ広がる運動のきっかけ:指導者が不在でも映像を通じて指導が可能な点や、高齢者や運動が苦手な層でも気軽に運動を始めるきっかけ(ボクササイズ等)としての活用に期待。

3. 企業・クリエイターの視点
持続可能な共創関係:次世代に向けた教育支援を継続していくためにも、一過性の活動にとどまらず、相互に価値を生み出し合える持続可能なパートナーシップを構築したい。
原体験を未来へつなぐ「次世代への還元」:クリエイター自身の「幼少期に最新機器に触れられた環境が、現在のキャリアに繋がった」という原体験に基づき、次世代の子どもたちにも同様の機会や仕組みを提供し、未来の可能性を広げたいという想いが示された。

今回の体験会を通じて、本技術が「表現の場」や「自己客観視のツール」として、教育・スポーツの現場に深く根付く可能性が示唆されました。今後は、いかにこれらを日常的な教育環境に組み込み、運用していくかが焦点となります。

本動画は、原宿外苑中学校の保健体育の授業でバレーボールのサーブ、レシーブ、アタックといった様々な動作をボリュメトリックスキャンし、その後の探究学習に活用された際の動画です。
https://www.jp.nikon.com/company/sustainability/highlight/2412_volumetric/